レシラムゼルネ構築の解説・考察

こんにちは、ルルと申します。

 

本当はSV発売前にお見せしたかった剣盾ランクマッチの禁伝2体ルールにおけるレシラムとゼルネアスの並び、通称「レシラムゼルネ(レシゼルネ)」についての解説及び考察、それに基づいて私はどのような構築を組んだのか等をお話していきます。

 

この記事の公開時期もあり、当時この並びを使ったことが無い、そもそも剣盾のランクマッチをやったことが無い方もいらっしゃるとは思いますが、強い動きや並びの見つけ方や、構築の組み方等、参考になる箇所も多いと思い今回制作しました。それぞれ言語化、可視化に成功していると思います。

 

(私は普段PowerPointを使わない環境にいるため、見づらかったり、スライドに不備があるかもしれません。ご了承ください)

(私自身による一人で行った考察なため、内容の妥当性は担保されていないことを予めご了承ください)

 

 

【レシラムゼルネとは?】

禁止伝説を2体採用するとなった際に、その組み合わせは双方の弱点を補える、お互いの攻撃範囲が棲み分けている、一方の伝説をより強く扱える等、意図は様々ですが、この並びはゼルネアスが苦手とする鋼タイプ(特に格闘等倍ポケモン)に対して、それらに有利なレシラムを組み合わせることにより、相手視点受けることが難しい、攻撃的な並びとなっております。

まず、レシラムは基本的に命の珠を持った龍舞型の物理アタッカーで(後述しますが、特殊型も存在します)、炎・ドラゴンの技範囲は半減以下で受けられるポケモンは当時水フェアリー複合のマリルリアシレーヌカプ・レヒレの3体しかいませんでした。

そのため、受けることは非常に困難であり、龍の舞で積むことによって、上から多くの受けポケモンを倒すことが出来る強力な禁止伝説です。

一方のゼルネアスは環境トップのザシアンに絶対的に不利とはいえ、それ以外の多くの一般ポケモンから禁止伝説までに対し、ジオコントロールを積むことで高い制圧力を有します。一応同じ種族値イベルタルと同様、物理型も出来ますが、ジオコン型が強すぎるためか、最後まで現れませんでした。(ただし、岩雪崩を仕込むなど物理技採用は度々見受けられました)

 

この物理珠レシラムとジオコンゼルネの並びは禁止伝説2体ルールのみならず、禁止伝説・幻解禁ルールにおいても採用され、最終2桁の結果を残しています

しかし、この並びは対面的な並びであり、交代することが困難なため、無茶な突っ込み、死に出しをせざるをえない場面が発生しやすかったです

 

加えて、レシラムもゼルネアスも積みアタッカーであるため、メタモンによるコピーがキツく、選出や立ち回りの幅が窮屈になりがちでした。剣盾終了後に思ったのですが、この禁止伝説2体、特に珠レシラムは受けが困難だったため、メタモンの存在でバランスが取れており、そこまでヘイトを買わずにいたのかなと思いました。

 

そして、環境トップの並びザシアン×カイオーガ通称ザシオーガは天敵と呼べるほど勝てない相手でした(過去形)。レシゼルネを使った方にリプやDMでお話を伺いましたが、皆さん口をそろえてザシオーガはキツいとおっしゃっていました。

レシラムゼルネは大きく3つの形に分かれます。分類や命名は私が勝手に行いました。

まず、サイクル型。これはアタッカーであるジオコンゼルネと優秀な受け駒であるラキヌオーの組み合わせに物理珠レシラムを加えた、対面性能を持ちつつ、引き先が用意された型です。レシラムゼルネで一番最初に最終2桁を取った構築になります。

しかし、この型の運用は受け駒への対策つまりラキヌオー対策に弱くなりやすく、特に5月以降数を増やしたゴチルゼルに何らかの答えを用意する必要がありました

 

次に壁展開型。これは主にオーロンゲ等を用いて、両壁を貼り、物理珠レシラムかジオコンゼルネアスで積極的に積み技を使用して、壁があるうちに高火力で攻め込んで有利をとる構築です。この型はゼルネアスと日食ネクロズマの組み合わせ、通称ゼルネクロと構築が似通る点が多いのも特徴的でした。

メタモンも壁を活用することで、コピーされてもある程度対応することが出来ます。

この型も最終2桁を取り、その後も別の方が最終3桁の結果を残しました。そもそもレシラムゼルネは使用率が少ないですが、構築記事の数、私がマッチングした相手の型から、恐らく最も使用された型ではないかと思います。

壁構築、積み構築の宿命になりますが、壁破壊技(画像のザシアンはサイコファングをイメージ)や急所で一気に瓦解してしまう点に注意を払わなければなりません。

 

そして、特殊型。これはジオコンゼルネと、物理珠型ではなく、レシラムをチョッキ持ちの特殊アタッカーとして運用とする特殊禁伝2体による並びです。レシラムの高い特攻を活かし、チョッキを持つことで対面性能を底上げした型となります。また、特徴的な点として、鋼飛行ポケモンの採用が見受けられました。

ほぼ毎シーズン最終3桁に存在し、最後まで使用していたプレイヤーは2人いらっしゃいました。

禁止伝説2体を特殊型で運用する関係上、特防の高いポケモンに対して、何かしらの回答が要求されます。使用した方々のお話や構築記事によると、ホウオウは特にキツイとのことでした。

余談ですが、このルール終了後、この型をより強く使えないか考察しました。私としては、レシラムの持ち物をドラゴン技半減実であるリリバの実にし、ウオノラゴンを採用し、岩技とチョッキを持たせることで、レシラムコピー、ホウオウ、ラッキー、ムゲンダイナに強く出られるのではと考えます。

 

これらのことから、レシラムゼルネは非常に広い攻撃範囲と高い火力を有するも、シビアな立ち回りの要求、使用率の高いメタモンやザシオーガが苦手、それぞれの型による弱点を迫られることから、禁止伝説2体の並びの中でも難易度が非常に高い部類かと思われます

私も構築が似通りやすいゼルネクロの方が使いやすいと感じ、普段レシラムゼルネを使わない配信者の方が企画等で使用した際に難しいとおっしゃったことからも伺えます。

 

 

【レシラムゼルネのラストピース、ランターンの解説】

前述したようにレシラムゼルネはカイオーガ軸、特にザシオーガに一方的に不利な並びでした。(サイクル型のみ構築記事によれば、不利ではないとのこと)

禁止伝説2体同士の相性が不利な関係上、一般枠にカイオーガに強いポケモンを割かなければなりません。

私自身もかなり色んなポケモンを試し、レシラムゼルネを使った配信においても、かなりのトライ&エラーを繰り返されていましたが、しっくり来るものはありませんでした。

カイオーガ対策だけすればいいというわけではなく、カイオーガ側もトリトドン等のカイオーガ対策枠を相手した時に、ザシアンに交代するため、ザシアンへの交代、ザシアンへの対面をどうしなければならないかという課題もありました。

そして、ザシオーガ側はカイオーガ対策枠が来るタイミングで釣り交換を行うプレイングによる対策カイオーガ対策枠を影踏みでキャッチし、コスモパワーを連打で嵌めるゴチルゼルによる対策が見受けられ、ゴチルゼルへの課題も浮き上がりました。

そのため、カイオーガ対策枠にはザシアン、ゴチルゼルをどうするかという難題を突き付けられ、ザシオーガを天敵のままレシラムゼルネを終えるかと思っていたところ、

S33の最終日の数日前にバドホウオウの解説動画が上がり、その中でカイオーガ対策枠にランターンが候補として挙げられていました。

カイオーガ対策枠の考察に限界を感じていた当時、ランターンは私には思いつかず、使用率の低さから疑っていたものの、もう他に候補はいないと、藁にも縋る思いでランターンを試します。そこで驚きの性能を目にしました。

ランターンはこれまでのカイオーガ対策枠の中でも一線を画す性能を有しており、カイオーガの技2タイプの内のどちらかで回復できる特性、対面操作、カイオーガの身代わりを一撃で破壊する電気技、カイオーガへの遂行速度が高い点は特筆すべき点です。

カイオーガへの遂行速度が早いことにより、相手の唯一の安定択である絶対零度の試行回数を減らすことに繋がり、運負けを減らすことが出来ます。逆説的にカイオーガ絶対零度がどれだけ恐ろしいか思い知らされました。

このランターンはレシラムゼルネのカイオーガ対策枠に求められていたザシアン・ゴチルゼルへの回答も有していました

ボルトチェンジによる対面操作でザシアンとゴチルゼルに有利なポケモンを後出しすることができ、カイオーガランターンが苦手なこともあり、一方的に有利なサイクル戦を仕掛けることが出来ました。役割論理や受けループに近い感覚で使用するため、非常に扱いやすかったです。

 

このランターンの採用でレシラムゼルネは天敵ザシオーガを克服、否、カモりだしました。

私はランターンを採用してから、落とした試合は相手の強気な釣り交換を通してしまい、択を誤った試合以外、全てのザシオーガ構築に勝ちました。ガチ構築にメジャーでないポケモンを入れること、ボルトチェンジサイクルを入れるのは初めてでしたが、その不安を振り払うのに十分な活躍をしてくれました。

最終日に同じくレシラムゼルネを使用し、カイオーガ対策枠に困っていた配信者様にこのランターンのことを伝え、カイオーガ入りにほぼ全勝したとの報告を聞いております。

(私は事情があって、その配信者様のメン限に加入しておらず、最終日に実際どのように運用していたのかは存じ上げません。画像のメタモンの枠がエアームドになっていたのかなと推測しています)

型が異なるそれぞれのレシラムゼルネにランターンを採用したことで、どちらもザシオーガにほぼ全勝したことから、レシラムゼルネにランターンの採用は正解であると私は考えます。

 

その配信者様から結果を聞いたとき、先人たちが成しえなかったザシオーガ対策を克服したことに強い感動を覚えました。本当に嬉しかったのは今でも忘れませんし、元々可愛いなぐらいに思っていたチョンチーランターンが大好きになり、Pokemonfitを買ったほど強い愛着を持っています。

 

 

【新型レシラムゼルネの開発】

ここからは私自身の新たなレシラムゼルネの構築の開発経緯の話になります。強い動きの見つけ方、構築作成の一助になれば幸いです。

私は7世代ぶりに対戦に復帰し、2カ月ほどで、2022年5月にゼルネクロを使用して最終日朝に瞬間レート1852、452位まで行きましたが、ダイマックスの使い方、ゼルネクロとのミラーで全て負ける等、練度面での弱さが目立ちました

私はROMを保存しない主義ですが、剣盾最終三桁は実績としてせめて持っておきたかったので、最終三桁を目指す構築を考え始めました。使いやすいザシアン構築は練度の差からミラーに勝てないだろうため、比較的練度の高いゼルネアスを主軸とした構築を組むことに決めたところ、ある試合を目にします。

(画像出典元:バンビーチャンネル、Umbraチャンネル)

それは7月に剣盾日韓交流戦。最終戦で韓国側のSnowpartyさんが使用した構築はゼルネアスを使用し、バンギラスの砂を組み合わせたもので、最終6位を取った構築で臨んだバンビーさんに一方的に有利な展開を仕掛けていました。

試合後の控室の配信で「ゼルネ+砂が勝てない」という発言を聞き、この並びに可能性を感じ、それを意識した構築の作成を始めました。

(個人的な考えですが、どんな人の対戦に関する雑談や愚痴は聞き得だと思います。本人にとって、その場限りの言葉であっても、自分では思いつかない、経験できないような参考になることは意外とあり、既に聞いて納得していた話であればそれは頑強なエビデンスになりうり、参考にならなければ反面教師になりますし)

「ゼルネ+砂」を意識しつつ、ゼルネアスと組み合わせる伝説は何がいいか考えたところ、難易度こそ非常に高いものの、当時使用者が実質2人(最終的にもう1人)しかいないことにより、ミラーが発生しづらく、練度の勝負になりにくいレシラムを使用することに決めました

 

まず、私が検討したのはレシラムの型。メタモンに弱いものの高い破壊力を持つ物理珠レシラムか、配信で見慣れていたチョッキ特殊レシラムにするか。

どちらも試しましたが、最終的に環境に多くいる対ラキヌオー、ホウオウ性能を評価し、物理珠レシラムでの使用を決めましたメタモンについては、ゆっくり実況者のスーさんのレシラムゼルネ動画でコピーされたレシラムのいなし方があり、それを参考にし、立ち回りで対応することにしました。

 

しかし、ここから構築作成は難航します。そもそもレシラムゼルネの構築自体が希少であり、参考に出来るものがあまりなく、そこからどう組むか非常に悩みました。

そこでふと、あることに気付きます。物理珠レシラムと同じSラインと特性、龍舞による積みを行い、上位で結果を残しているゼクロムの構築を参考にすればいいのではないかと

それから私はゼクロムの構築記事をとにかく読み漁りました。そこである構築記事を目にします。

それが最終2位を取り、その次のシーズンにレンタルで最終3位を取ったゼクロムオーガの記事です。

このゼクロムオーガは積み・対面・壁・サイクルが全て取り入れられており、非常に高い完成度を有していました。

まず、感銘を受けたのはアローラキュウコン。絶妙なSラインによる素早さ判定、壁展開、ゼクロムを使う上で面倒な襷ガブリアス・ウーラオスを1ターンで処理できる、零度による壁枯らしへの牽制等。

私は何より、キュウコンが降らせる霰によって、可能性を感じた「ゼルネ+砂」を再現できることに気付きました。

また、キュウコンが壁展開を行うことでレシラムゼルネの型の1つである壁展開型の再現が行えることにも気付き、採用を決めました。

 

加えて、キュウコンで壁を貼ってから、メタモンに素引きすると、急所に当たらない限り、安全に目の前の相手をコピー出来る強力なムーブをゼクロムオーガの解説動画で知り、相手のゼルネアスを鋼タイプを採用せずに見れる、ザシアンの選出を強制させるゼルネアスとシナジーがあるメタモンも採用しました

 

この経験から、もし並びや構築の作成に行き詰ったときは、既に採用が決まっているポケモンと技や特性、種族値が似ている・同じポケモンが採用されている構築を参考にしてみるのは有用な手段かと思います。私もゼクロムオーガを見なければ、キュウコンの採用を始めとしたこれまでにないポケモンや動きを取り入れることは無かったでしょう。

私はこの経験及び方法はどの世代のどのルールでも通用すると考え、今後積極的に行っていきたいと考えています。

そして、最終的に完成した構築はこちらの【SWSH】小雪レシゼルネfinale【最終944位 R1809】 - ruruaqua's memory (hatenadiary.com) になります。

従来のレシラムゼルネと比較した際、「ゼルネ+霰」によるダイナ系統の構築に対する絶対的な強さエスパー無効のブラッキーボルトチェンジ採用のランターンによるゴチルゼル耐性のあるサイクル戦が可能といった独自性が挙げられます。

 

また、物理珠レシラムは意外と相手の日食ネクロズマを倒せない、ランドロスの威嚇に弱いという点が目立ち、下降補正にしてもAとCの実数値がさほど変わらない、炎技を撃つ相手は特防の方が低いことが多い、非ダイマ時でも自傷を気にせず立ち回れることから、フレアドライブあおいほのおに変更しました

個人的にこれはダイマ前提の運用をする物理珠レシラムにおいて、革命的ではないかと思います。

 

対面操作と壁からの素引きによるサイクル、キュウコンによる壁展開からの強引な積み、物理珠レシラムにあおいほのおを仕込んで特殊レシラムの動きを取れることから、サイクル型、壁展開型、特殊型の3つのレシラムゼルネの要素を組み込んだ構築となりました。

 

正直、当時3ヶ月しか剣盾のランクマッチをやっていないため、レート2000、2桁を目指すのはどんな構築であっても練度的に困難であると考え、見た目を重視しつつ、実用的な構築として組んだ意図があります

寒色統一、美しい・可愛いポケモン統一ですかね。

これには新たなランクマのルールが開催されるたび、好きなポケモンの採用や見た目がオシャレな構築を組むのが困難となり、諦めを感じ、ランクマを潜れなくなった方々の希望やエールになれるように組みました

このルールでも出来るよって。それもあって、ある程度の実用性を示す最終3桁は絶対に成し遂げなければいけない気持ちで臨んでいました。

 

結果は、12000位まで溶かしたROMを最終日の夜から上げて、時間が足りなかったこともあり、最終3桁にギリギリ残れるだろ順位でROMを保存し、最終944位で終えました。

結果は何とも言えないかもしれませんが、最低目標は達成し、分析・考察・構築制作・立ち回り・選出において、かなり学びを得た構築であり、結果以上のものは得たと思っております。

ちなみに今構築を見直すならば、ゼルネアスの身代わりをかみなりに変更するくらいかと感じます。

 

 

【謝辞】

レシラムゼルネの並びを使用し、構築記事を執筆してくださった皆様のおかげで今回の解説を行うことが出来ました。

本記事を製作する当時まで、記事を残していただいたことに心より感謝申し上げます。

 

 

【お願い】

私個人の記事ということもあり、実際に使用された構築記事の引用、使用者の明言を避けております。

もし名前の明記や記事の引用をしても構わないという方がおりましたら、一報いただけると幸いです。